3Dプリンターについてゴチャゴチャ考えただけの記録

無益情報です。ただ、なんとなく、考えたことを残しておこうと思ったので書きました。

カッカッカッカッ…

「でた、フィラメント送りがうまくいっていない音。」

私は簡易防音室の扉を開けて、身をかがめながら3Dプリンターの背面をチェックする。フィラメントのスプールにひきつれはないから、原因はそこではないようだ。きっとノズルにフィラメントが詰まってしまったのだろうと考えて、印刷ストップボタンを押して、フィラメントを本体から抜き取り、ノズルが冷めるのを待つ。

2020年2月にQIDI TECHの3Dプリンター X-Smartを購入してから二年弱。出力した数はたぶん3桁いくかいかないかでそれほど多くはないけれど、3Dプリンターの初心者あるあるトラブルにもだいたいは遭遇して、落ち着いて対応できるようになっていた。とはいえ、昨年4月からは息をつく暇もない忙しさでほとんど触れておらず、久しぶりにちょっと生活を便利にするグッズを印刷してみようと作動させた矢先の出来事だった。

そろそろノズルの熱も冷めた頃だろうと、フィラメントの押し出しユニットを分解する。分解方法を忘れてしまっていたので、iPhoneでググりつつ、親切な人が書いてくれたブログ記事の手順通りに取り外す。3Dプリンターはこういうところが手軽じゃないし、なかなか普及しない理由でもあるよなぁなどと、そもそも一般に家庭で何かを出力する必要性がないという決定的な理由をどこかに追いやりながら、トラブルは自然の流れだと自分を納得させる。しかし、分解してみて、予想外に、どこにもフィラメントが詰まっていないことに戸惑った。フィラメントを送り出す歯車にも汚れや破損はなかった。念のため、消耗品のノズルとチューブを新品に交換して、またユニットを元通りにはめ込んだ。何かの偶然か、たまたまうまく動かなかったのか…そう考えながら、再びフィラメントを本体に引き込もうとしたところだった。

カッカッカッカッ…

事態を何も改善できていないことに失望しつつ、次の策を考える。これはフィラメントのせいなのか?別のフィラメントにすれば改善するか?もう一度分解して状況を確かめる?サポートに連絡する?あるいは諦める?はたまた判断そのものを先送りする?3Dプリンターがいま動かなくても、とくにこれといって困るようなことはない。だから「また今度」にしてもいい。

そこまで考えた時に、いっそこれを機にこの趣味をやめて全て処分するという手もあることに気付いた。昨年4月から、ずっと放置できていた趣味なのだから、きっとなくしても良い趣味でもある。3Dプリンターを手に入れてから、Fusion360で3D CADに触れてみたり、Thingiverseにデータをアップロードしたりして、それまでになかった交流を通じて色々と得るものはあった。ちょっとは誰かの役に立ったかも知れない。その思い出だけあればもう充分なのではないか。プリンターもフィラメントも狭い家屋の中ではそれなりに場所をとっているし、処分してしまえばスッキリするのではないか。この趣味をなくせば、仕事やほかの趣味に使う時間は増やせる。本当に出力したい何かがあるなら外注すればいいとも思った。モデリングをして出力物を見て改善する、のサイクルは回しにくくなるだろうけれども、そのサイクルは「私が楽しい」以外には何の利点もなく、誰の役に立つものでもなく、むしろ「そんな暇があるなら○○してくれ」と思われてしまうようなものではないか。

場所を取るというのはX-Smartに感じていた唯一の不満でもあった。印刷サイズが小さくなっても構わないから、もっと小さな何かに買い替えたい気もしていた。あるいは、逆にこのスペースにもっと付加機能がある機種を置いて、より快適な3Dプリント生活を送る世界線もありうるとも。光造形の機種に買い替えるのだってアリだ…そう思って一応調べたものの、いくら水洗いレジンがあるといってもやはり処理が面倒過ぎるので私には向かなさそうだと再び思う。実用品しか作らないのにわざわざ光造形にしなくても良いだろうし。

ここまで思いを巡らせたとき、私の目の前で異音を立てているこの本体を直して使うという選択肢はなくなった。私の思いつく範囲でできる対応はしたし、これ以上はメーカーに聞くなり本体を送るなりするしかないけれども、発売からはそれなりに時間が経っている機種だ。

「区分としては、30cm以上の、プリンター?でいいのかな。紙には印刷しないけど、プリンターではあるよな。」私は粗大ごみ申し込みセンターのウェブページで、回収のための手続きを進める。もし気が変わったら、期限より前に、申し込みを取り消す手続きをすればいい。

次に「小型 3Dプリンター」でAmazonやGoogleを検索した。買う買わないは置いておいて、検討は娯楽。購入する瞬間まではタダで夢を見られる。たまにはそんな休日の過ごし方をしても罰は当たらないと自分に言い聞かせつつ。

QIDIはなかなかサポートの良いメーカーで好感を持っているので、もし同じメーカーで小型の機種が出ていればそれにしたかったけれど、残念ながら出ていないようだった。おそらくメーカーの方向性としても作ることはないかもしれない。何かを削らないと、小型にはならない。何かを削る以上は、成果物の品質が下がる傾向にあるのは間違いない。全て私の妄想としか言えないけれど。キャッチーな「小型ネタ」には振らないメーカーのような気がした。こんなことを考えていると、その次の日に出るかも知れないけれど。

ネットショッピングではモノのサイズ感はパッと見で判別できないので、商品ページからスペック表を探して眺める。

「ニンジャボット・コペン」は相当小さい。本体サイズわずか20センチ弱、の触れ込みで、これはおそらく最小レベルで小さい。魅力的ではあるけれど、発売が2018年だし、印刷速度が最大で20mm/sはいくらなんでも遅すぎる。印刷品質も、小型なりの品質のようす。いまこの値段で買う機種ではないと感じた。メーカー直販でもオプションによっては品切れのようなので、終売の時期なのだろうと思う。

「ダヴィンチ nano」は28×38×36cmでそこそこ小さいが、そこそこ大きくもある。私の住む自治体では、家電の一辺が30cmを超えると粗大ゴミ扱いになる。30cm未満なら小型家電だ。この機種は小型の枠には入らない。さらにこの機種はメーカー指定のフィラメントしか利用できない。私のお気に入りの色や性質をもったフィラメントを使えないのは痛い。温度で色が変わる変わり種フィラメント、蓄光フィラメント、あるいは実用的な削れるフィラメントLFY3Mを使いたいのだ。さらにこの機種はPCに繋がないと何も出来ない = Macのアップデートですぐに使えなくなる可能性がある。

先に挙げたニンジャボットの共同開発先(?)EasyThreedで検索をかけると、小型の3Dプリンターがいくつかヒットした。その中でも「EasyThreed Dora」は、本体25x26x26でcmと小型ながら、SDカード(TFカード?)でファイルを読込めて、プラットフォームはマグネットで剥がせて、印刷速度も最大100mm/sらしいと分かった。オプションでヒートベッドもつけられるとか。メーカーサイトは適当な作りで、スペック表記もページによってマチマチなので何を信じて良いか分からないけれど。サポートOSのIOS (CURA)ってどういうことだ。iOS版があるのか?他の機種の名前もMickeyやMinnieだったり、大丈夫なのか心配になるけれど。サポートのマニュアルページもリンク切れだけれど。ググって出てくるマニュアルは画像をPDFにした謎設計だけれど。サポートはBBSで受けられるようで、最新の書き込みは今日の日付なので、そこは少し安心した。消耗品のノズルも日本国内から購入できそうだ。あまりにも情報がなく、色々適当なので、トラブルシューティングには苦労しそうだ。

ここまで調べたところで時間切れになってしまった。今日の結論は「先送り」だ。なんせ、3Dプリンターはなくても困らない。ないと困る、今日の晩ご飯材料の買い出しに今すぐ行かねばならない。中身が空だとすぐに肩から落ちてしまうエコバッグを脇で挟みながら、スニーカーに足を押し込んで、今まで過ごしていた無益時間を名残惜しく思う。明日は月曜日だ。きっともう、いつかけっこう先まで、3Dプリンターについて考えられる時間はやってこない。玄関ドアを施錠しながら、幸せだったな、と思う。さようなら。

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